ミエ・コカンポー『BEFORE MAYBE』
2004年 07月 19日
最近ダンスばかり観てる僕。
秋吉台国際芸術村レジデンス事業 trans_2004-2005
ミエ・コカンポー新作コンテンポラリーダンス・パフォーマンス
『BEFORE MAYBE』
"TRACE / piano" 振付/作曲:ミエ・コカンポー、池田亮司
"EFFORT" ディレクター:ナターシャ・ニジック
"BEFORE MAYBE" ダンス:ミエ・コカンポー 音楽:吉阪一郎
→ミエ・コカンポー Web Site
ダンスというとリズムがあって、足を高く上げて(笑)みたいなのを想像する人が多いと思うけど、ミエ・コカンポーさんのダンスとはそういう一般的なダンスではなく、既成の概念を打ち破ったところに新しい身体を使った表現を模索しているような、いかにもフランス人らしい前衛的なパフォーマンス。
かといって難しいものではなく、多くの人にその美しさが理解されると思います。
最初の"TRACE / piano"はミエ・コカンポーさんがピアノを使って時に激しい音を出し、または寂しい音を出しながらの身体表現という感じのもの。
ピアノとミエ・コカンポーさんとの間の緊張感のようなものが伝わってきて自分の息の音さえも止めたくなるようなパフォーマンスでした。何やらピアノと対立しているような、寄り添っているような、日常の隙間にある儚さのようなものを感じました。
次の"EFFORT"は映像表現。
日本の田舎の日常をスローモーションで淡々と見せるという映像は、僕らが毎日過ごしている日常を切り取り、全く違った非日常へと再構築しているようで、すごく不思議な印象を与えられました。
その映像の中にふっと浮かぶ「私は私自身が何を探していたのか判らない」という意味の英文。映像と文字との距離感によって、観ている人間を夢の中へ誘っているような気がする映像でした。
最後の"BEFORE MAYBE"は能楽の小鼓演奏者とミエ・コカンポーさんのコラボレーション。
舞台がふっと明るくなると背景には竹林が風に揺れる映像、厳かに広がる小鼓の音、その音色で呼吸を始めるようにゆらりと動き出すミエ・コカンポーさん。
時には能の所作を交え、時には能に対立するかのようなクラシックバレエのような動きを見せ、小鼓の音色を吸い込み、吐き出し、対立し、寄り添うといった内容のダイナミックなパフォーマンス。
とても小鼓と一人の女性の身体表現だけの舞台とは思えないほどの舞台空間の密度の濃さが強烈で、圧倒されました。
僕の文章能力ではまったく表現することができません。
とにもかくにも良いもの観ることができて大満足でした。
ちなみに今回は入場無料!
ビックリです。
帰り道で季節はずれのホタルも一匹見たし、かなり幸せでした。
あ、そうそう、"BEFORE MAYBE"は2005年にダンスパフォーマンス『Simply』の一部としてフランスでの上演が決まっているらしいので行ける人は是非是非足をお運び下さいませ。
本日の1曲:
『FIELD WORK (LONG-LON)』
(坂本龍一『FIELD WORK+STEPPIN' INTO ASIA』←CD)
→坂本龍一 Web Site
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