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NODA・MAP第10回公演『走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!』

劇場に入ると懐かしの男性アイドルの曲が客入れ音楽。
そういえば遊眠社の客入れ音楽ってこんなテイストだったよななどとニヤニヤしてしまう。
開演前のステージは廃墟をイメージさせる壊れて薄汚れたガラクタで埋め尽くされている。

キャスト
深津絵里(芙蓉)
中村勘太郎(久留米のスルメ)
小西真奈美(零子)
河原雅彦(メルス・ノメルク)
古田新太(大地主・芦田刑事)
小松和重(百太郎・太股田刑事)
浅野和之(城代家老・脇田刑事)
松村武(勘定奉行・尻田刑事)
腹筋善之介(小作人・踵田刑事)
六角慎司(三匹の侍1・臑毛田刑事)
櫻井章喜(三匹の侍2・膝小僧田刑事)
野田秀樹(大奥様・桐島洋子)
峯村リエ(女学生1・桐島年江)
濱田マリ(女学生2・桐島歌江)
池谷のぶえ(女学生3・桐島花江)


僕が観た席が前から2列目ということもあると思うが、幕が開いてから終演まで圧倒的な役者のパワーで芝居の世界に巻き込まれていく。
やはり舞台は役者のものだなというような確信を得たような気がする。

戯曲自体は野田秀樹がまだ劇団夢の遊眠社を主宰していたころ、今から29年前の作品。
スピード感のある言葉遊び、「こちら岸」と「向う岸」、「待つもの」と「待たせるもの」、「追うもの」と「追われるもの」などの対立する2つのイメージ、ときに日本とアメリカを連想させながら、それらが入り乱れ混乱を引き起こしながら舞台は展開していく。
そして「待つ」というある種積極的な行為によって引き起こされる感情により加速される。

久々に観た「うるさい演劇」。
いわゆるストーリーではなく役者の声や身体性、テンションなんかをよりどころにして進む劇構造の舞台は懐かしくもあり新鮮でもあり、やっぱ俺はこういうのが好きなんだなあって思いを強くしました。
そして役者自身の表現力の素晴らしさ。
身体全部を使い感情を表現し、観客のイメージを膨らませる。
スピード感も一つの表現手段なんだと気付かせられる演出が心地よかった。
またリラックスした雰囲気をベースにして緊張感を高めたり緩めたり、そういう芝居が依って立つ部分の作り方がうまいと思いました。

何だかこの芝居によってたくさんのイメージが湧いてしまいひとつひとつ書いていると収集がつかなくなるので適当なところで止めておこうと思いますが、ホントに良い舞台だったと思います。

やっぱね、役者さんは良い身体と声を持ってなきゃダメだよね。


本日の1曲:
『Elevation』
(U2『Go Home Live From Slane Castle, Ireland』←DVD)

U2 Web Site
U2, Amazon
by stepbros | 2005-01-13 20:23 | 鑑賞備忘録 | Comments(0)

書き散らかしの聴き散らかし


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